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市販薬で使われる成分について解説します~dl-メチルエフェドリン塩酸塩

2024年05月20日
メチルエフェドリン構造式

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当社が発売している医薬品にも配合されている成分の説明シリーズ3回目です。
今回は市販薬でも多く配合されている成分、dl-メチルエフェドリンについて解説します。

第三回 咳を止める dl-メチルエフェドリン塩酸塩

dl-メチルエフェドリン塩酸塩は、宇津こどもせきどめ(顆粒)、宇津こどもせきどめシロップA、
宇津こどもかぜ薬AⅡ、宇津こどもかぜシロップAに含まれる咳止め成分です。

咳は、気道に入った異物(細菌やウイルス、ほこりなど)を体外へ排出する生体反応なので、むやみ
に止めない方がよいと言われていますが、激しい咳や、咳が続くと呼吸が苦しかったり眠れなかっ
たりして体力を消耗します。そのような時のために咳止め薬があるのです。
なお咳止め薬は、正式には鎮咳薬といいます。

働きと作用
交感神経を刺激して気道を広げ、呼吸を楽にし、咳を鎮める作用があります。

歴史
dl-メチルエフェドリン塩酸塩の基になるエフェドリンは、1885年に薬学者の長井長義が生薬の
麻黄(マオウ)から発見し、大量に合成することに成功して、多くの気管支喘息患者が救われました。
一方で、健康を害する医薬品の原料ともなり、厳しく管理されるようになりました。その後、害
の少ない塩酸エフェドリンとして合成され、更に効果がマイルドな誘導体のdl-メチルエフェドリン
塩酸塩が合成されて、現在多くのかぜ薬や咳止め薬などに配合されています。

特徴(安全性)
dl-メチルエフェドリン塩酸塩は、コデインなどの咳中枢に作用する麻薬性鎮咳薬と違い、器官
や気管支、肺などの抹消に作用して咳を抑えるので、比較的安全といわれています。

処方薬と一般用  
病院で処方される薬は、基本的に一つの薬に一つの成分が含有されており、医師が患者を診断し、
それぞれの症状に適した薬と量を組み合わせて処方します。一方、市販薬は、多くの人のいろいろ
な症状に対応できるように、幅広く効果的な複数の成分を組み合わせており、一つの商品に複数の
成分が含有されています。市販の咳止め薬は、複数の咳止め成分や、痰(たん)を取り除く成分が
入っています。

注意すること
dl-メチルエフェドリン塩酸塩の基になるエフェドリンは、もともと麻黄から抽出された成分なので、
本品を含む咳止め薬やかぜ薬と葛根湯など麻黄の含まれる漢方薬との併用は、働きが重なって作用
が増強される恐れがあるので避けてください。